しゃこばな☆しゃあまん 第1話 ヒータのバイト
店長 「それでは、お入りください。」 ヒータ 「はい!」 店長がそう呼ぶと、ヒータは大きな声で返事をし、面接会場の扉を開けた。 店長 「えー…、ヒータさん で、いいですね」 ヒータ 「はい!」 店長 「私、店長の佐々木と申します。よろしくお願いします。」 ヒータ 「よろしくお願いします!」 店長 「じゃあどうぞ、椅子におかけ下さい。」 ヒータ 「わかりました!!」 店長の言葉に、一際元気に返事を返したヒータは、礼儀正しく粗末なパイプ椅子に腰をかける。 店長 「ははは…、アピールポイントに「元気」と書くだけあって、元気ですね」 ヒータ 「どーも…」 ヒータは、照れ隠しとばかりに自分の頭を軽く掻いた。 店長 「最近の若者に足りない言葉の一つですね。それをお持ちなんですから素晴らしいですよ」 褒められるのに慣れないヒータは、特にお礼も言うことなく頭を掻き続けた。 店長 「え―…、 あ。 危険物取り扱いの資格も持ってらっしゃるんですね」 ヒータ 「はい!」 店長 「素晴らしいですねー。丁度、唯一の資格者が辞めてしまいまして…」 ヒータ 「そうなんですか」 店長 「あ、それに平日と休日と… ほとんどバイト出られるんですね」 ここぞとばかりにまた声を大にするヒータ。 ヒータ 「はい!!毎日でもイケます!!」 これには店長も苦笑いするしかなかった。 店長 「あはは…。素晴らしい」 店長は、机の上の写真の貼ってある紙にボールペンで何かを記入すると、さらに話し始めた。 店長 「今のところですね、人員が完全に足りてない状態なんですよ。多少なりとも働ける人材がいれば、 すぐさま採用しようと思ってたんですがね、あなたみたいな人が来てくれて嬉しいですよ。 あとは、結果を待っていただくだけなので、すこし待っていて下さいね」 ヒータ 「はい!」 店長 「あ、すっかり忘れていました。ヒータさん、職業の欄に、「魔法使い族」と書いてあるのですが、 魔法使いの中でも、ヒータさんはどんな魔法使いなんですか?」 ヒータ 「はい、火霊使いです!!」 店長 「……………………え?」 ヒータ 「火霊使いです」 店長 「「火霊」・・・と、言いますと…火…ですか?」 ヒータ 「火です」 店長 「………………ファイア……ですか?」 ヒータ 「ファイアです」 店長 「…………………………」 ヒータ 「………?」 ヒータが動揺する店長に首をかしげていると、店長は静かに話し始めた。 店長 「あなたは…ここがなんのバイトかわかってますか?」 ヒータ 「ガソリンスタンドです」 店長 「では、何故ここのバイトを希望したのですか?」 ヒータ 「燃えそうなんで!!!(ヤル気が)」 店長 「燃えそう…ですか…(町が)」 店長は、一度大きな咳払いをすると、語勢を強めた。 店長 「あなたねぇ…、元気だけじゃどうにもならないんですよ」 ヒータ 「え?」 店長 「火を操るものが、同時に油を操れるわけないでしょう。あなたのモチベーションが高いことは認めますが… お客様方の安全を考えると、ここであなたを採用するわけにはいかない」 ヒータ 「そんな」 店長 「ガソリンスタンドは、ただお客様に油を分けるだけの仕事じゃありません。一種のサービス業なんですよ。 それを、もしものことがあってお客様に怪我をさせてはいけないでしょう」 ヒータ 「…………」 店長 「適材適所、という言葉があるでしょう。ということは、その逆もあるということですよ」 ヒータ 「……」 店長 「そのことをよく考えてバイトを選んでください」 ヒータ 「…」 店長 「それでは、お引き取りください」 ヒータ 「で、でも……」 店長 「お引き取り下さい」 しばらくの沈黙の後、ヒータは涙目になりながら立ち上がり、何も言わずに部屋から出ていった。 ………… 店長 「はぁ…、 まったくヤレヤレ…。困った子もいたもんだ」 バイト 「店長。店長」 店長 「町が全焼でもしたらどうするんだよ」 バイト 「店長ってば」 店長 「またバイト探さないとなぁ…」 バイト 「ミスターボンバー店長!!!!」 店長 「なんだい、さっきから」 バイト 「電話です」 店長 「ん? ああ、ありがとう」 今日も、この町は平和に夕暮れを迎えた。 だが、ほんの小さな所に大きな危険は隠れている・・・・・・ おしまい♪